日時:1997年5月24日(土) 13:30~17:30

場所: 関西ドイツ文化センター(京都)

<<内容>>

1.研究発表
発表者:竹尾 治一郎 氏(関西大学)
題目:哲学における意味論の位置

[要旨]

 デカルト以来の近代哲学では、認識論から始めるのが常であった。フレーゲは認識論を彼が「論理学」とよぶものによって置き換え、哲学の諸部門の間のハイエラーキーを変えることによって、哲学の全体的展望を変えてしまった。ただし彼が「論理学」とよんだものは、伝統的意味での論理学(演繹的推論の研究)とは違い、今日では「意味の理論」ないしは「言語の哲学」とよばれるものに近い。この発表では、(1)フレーゲの意味論についての一通りの説明の後、彼自身の意味論がどのような問題を残したかを述べ、(2)真理、意味、話者の意味などの概念についての、ダミット、クワイン、デイヴィドソン、グライスなど、比較的最近の哲学者たちによるフレーゲへの挑戦に手短に言及し、(3)フレーゲが与えたパースペクティヴのなかで、現代の哲学者たちの仕事――少なくとも、その言語哲学の部分――が行われている事情を明らかにしたい。


2.報告
報告者:合田憲氏(姫路獨協大学)
題目:高等学校におけるドイツ語教育の現状

[要旨]

 日本のドイツ語教育は現在、大学(高専)から始められるのが一般的である。大学設置基準の大綱化以来、大学において語学、特に第2外国語の退潮が叫ばれている昨今であるが、全国では約120校の高等学校でドイツ語科目が設置されている。高等学校の現場は大学以上に深刻な状況にある。高等学校のドイツ語教育の現状と問題点を、およそ次のような項目に従って紹介してみたい。

    • 1. 履修形態
    • 2. 問題点(第2外国語として)

英語との関連カリキュラム上の問題大学入試と大学の受け入れ体制教員の養成と配置(雇用)その他(第1外国語)

  • 3. 教員としての取り組み
  • 4.今後の展望
  • 5.その他