第99回例会

日時:2019年9月21日(土)13:30 ~ 17:00

場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)

<<内容>>

研究発表会

司会者:吉村 淳一 氏

研究発表1
発表者:筒井 友弥 氏(京都外国語大学)
題目:度数詞 nurと alleinの意味機能 ―代替のスケールに注目して

[発表要旨]

 ドイツ語の度数詞 nur と alleinは、共に制限的(restriktiv)な機能をもつ点で等価である。しかし、Heike hat nur / *allein 10 Euro bei sich. のような例では、alleinの使用は認められない。また、Allein/ Nur der Gedanke daran ist furchtbar. のような例では、allein と nur で意味が異なる。これらは、それぞれ nurにはスケール的(skalierend)な機能が、allein には評価的(evaluativ)な機能が備わっているためと考えられているが、実際には、評価的な alleinにも一種のスケールが観察される。本発表では、nur と allein の焦点値から導かれる意味的なスケールに注目し、それぞれの代替がどのように扱われるかを考察する。


研究発表2
発表者:鈴木 康志 氏(愛知大学)
題目:主文制限あるいは埋め込まれた命令文は可能か?

[発表要旨]

 話法と命令文を中心に研究していますが、まず話法について、本来コンテキストの中で考えなければならないのに、単文として考察される問題を指摘したいと思います。そして今回はその話法と命令文が交わる埋め込まれた命令文について触れてみたい。平叙文や疑問文は間接話法に埋め込むことが可能ですが、命令文はできません。*Hans sagte zu Monika, dass (du) das Fenster öffne. ところが最近、埋め込まれた命令文が可能という研究が出てきました。特にKaufmann (2012)は日常ドイツ語におけるこのような命令文に言及しているので、これが本当に可能か考察してみたいと思います。

 


研究発表3
発表者:山田 善久 氏(岐阜協立大学名誉教授)
題目:コーパス処理ツールTecely2(新版)の開発とその特徴

[発表要旨]

 Tecelyは、発表者が単独開発した欧文コーパス処理ツールで、次の機能がある。
1.語彙分析 a)ワードリストの作成 b)テキストおよびワードリストの差分処理
2.コンコーダンス作成 a)用例検索(KWIC など) b)コロケーション分析
3.スタイル分析 a)基本文体情報 b)Nグラム分析 c)構成要素分析 d)統計量(語彙の特徴度・共起強度)計算
この度 Tecely2として改訂を行なったので、その紹介をしたい。予定しているデモは、リニューアルしたレマ辞書によるワードリスト作成および用例検索、テキスト語彙の差分処理、TreeTaggerの出力とリンクさせたレマ処理および文法情報検索である。
なおこのソフトは、発表者のサイトからダウンロードできる(無料)。

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