第94回例会

日時:2017年12月16日(土)13:30 ~ 17:00
場所:京都大学楽友会館(1階会議室)
<<内容>>

研究発表会

司会者:筒井 友弥 氏(京都外国語大学)

研究発表1
発表者:黒沢 宏和 氏(近畿大学)
題目:古高ドイツ語の時称文における法の用法 ―条件文・関係文との比較に基づいて―

[発表要旨]

 古高ドイツ語においては、現代ドイツ語に比べ、接続法が頻繁に用いられる。この現象は特に副文において顕著である。従来、この副文中の接続法は、主文から副文への影響によると解釈されてきたが、この見解には議論の余地が残されている。
本発表では、古高ドイツ語『タツィアーン』を考察の対象とし、古高ドイツ語の時称文に接続法が現れる場合と直説法が現れる場合に、表現内容にどのような差異が生み出されるのかを、意味論的な観点から明らかにする。
発表者は近年『タツィアーン』の条件文と関係文における接続法を扱ったが、条件文・関係文と時称文との間で、どのような違いがあるのかを解明し、時称文の特性を可能な限り浮き彫りにしたい。


研究発表2
Frau Pinnau-Sato, Heike(京都外国語大学)
題目:Bedrohung oder Bereicherung für die deutsche Sprache – Anglizismen
quo vadis?

[発表要旨]

 Am Thema Anglizismen scheiden sich die Geister. Auf der einen Seite empfinden Sprachkritiker einen großen Teil davon überflüssig und sehen im stetigen Anwachsen dieser eine Verdrängung des deutschen Wortschatzes oder sogar eine Bedrohung für die deutsche Sprache an sich. Auf der anderen Seite beschwichtigen Sprachwissenschaftler oder Experten aus anderen Fachbereichen und sprechen anstatt von einer Gefahr von einer Bereicherung für das Deutsche. Vor diesem Hintergrund wird in der diesmaligen Studie der aktuelle Gebrauch von Anglizismen analysiert.

 


研究発表3
発表者:藤縄 康弘 氏(東京外国語大学)
題目:複合判断・単独判断とドイツ語統語論

[発表要旨]

 複合判断と単独判断(kategorisches vs. thetisches Urteil)はドイツ語圏スイスの哲学者 A. Marty に遡る論理学の範疇だが、言語学では Kuroda (1972) が日本語ハ・ガの分析に応用したことで知られている。本発表では「ハ=複合判断、ガ=単独判断」という彼の見方が Marty (1918)に鑑みて必ずしも適格でなく、この差異の本質が別にあることを確認した上で、それがドイツ語統語論にどう反映しているかを命令文・希求文と小節を例に考察する。帰結として、繋辞でも所在動詞でもあり得る seinの機能性がまさにこの判断の別に基づくことが明らかとなろう。

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