場所:キャンパスプラザ京都6階 京都外国語大学サテライト講習室(第4講習室)
<<内容>>
研究発表会
司会者:吉村 淳一 氏(滋賀県立大学)
研究発表1
発表者:大喜 祐太 氏(三重大学)
題目:存在表現の意味を決定する要因
[発表要旨]
本研究では、何らかの事物の存在について言及する存在表現に着目する。なぜなら、多くの言語が存在を言及する特定の表現を備えており、日常的な言語使用の場では、ある一つの表現に対して多様な用法を観察できるからである。そうした存在表現の意味解釈には、複数の形式的・意味的要因が絡み合っており、そのうえ、発話状況に依存して語彙や構文の使用の適切さに違いが見られる。本発表では、コーパスから抽出した用例を示しつつ、語彙の多様性と多義性、語用論的曖昧性などの概念を足がかりにして、ドイツ語存在表現の用法について考察する。
研究発表2
発表者:西野 由起江 氏(大阪大学大学院生)
題目:日本の主婦層向けテレビ番組の談話の考察―ドイツの料理番組との比較から見えるもの―
[発表要旨]
主婦層を視聴対象とする日本のテレビ番組は、主婦向けという設定された枠組の中で主婦に役立つ情報を集め、番組内の談話行動を通して性別役割についての規範を明示的・暗示的に再生産している可能性があると考えられる。主婦という語の意味を形成し、語によって想起される規範はテレビの談話行動を通して伝えられ、前提として社会で共有されているのではないだろうか。本発表では、日本の主婦向けテレビ番組の談話行動とドイツの料理番組の談話行動を比較し、料理作りの談話行動から観察される性別役割についての考察を行い、料理作りというゴールが同じであっても、プロセスに見られるそれぞれの談話行動に見え隠れする規範に相違があることを例示する。
研究発表3
発表者:中村 直子 氏(大阪府立大学)
題目:名詞を第一構成要素としてもつ現在分詞―一語書きされる名詞-動詞結合のひとつのバリエーションとして―
[発表要旨]
名詞-動詞結合の不変化詞動詞の用例を収集する際に、見過ごすことができないのが、名詞-現在分詞の結合をもつものである。一見したところ、名詞-動詞結合の不変化詞動詞における名詞と動詞の結びつきと似ているので目につくのだが、用例を見ていくと、少々異なった様相を持つところもある。今回は、扱う対象を、名詞-現在分詞の結合に限定して、名詞と(動詞の一形態である)現在分詞の結びつきについて考察する。これもまた、一語書き・分かち書きの境界領域にあるカテゴリーであるため、名詞-動詞結合における一語書き・分かち書きの考察のためのひとつのケーススタディとしたい。