場所:キャンパスプラザ京都6階 立命館大学サテライト講習室(第1講習室)
<<内容>>
研究発表会
1.研究発表
司会者:薦田 奈美 氏(京都大学非常勤)
発表者:上村 昂史氏(同志社大学非常勤)
題目:バイエルン方言における複数1人称代名詞 ―動詞活用語尾との交替について―
[発表要旨]
バイエルン方言 (Bairisch) が話されている地域の一部では、複数1人称代名詞mia の縮約形ma(以下:MA語尾)が、本来の複数1人称における動詞の活用語尾であるan(以下:AN語尾)の肩代わりに使用されるという事例が報告されている。本研究は、現時点における当該現象の実態について記述するものである。調査では、バイエルン方言圏に居住する若年層話者の話し言葉に着目し、当該の事例についてアンケートを行った。本発表では、先行研究における記述を概観し、調査の概要および結果について見た後、MA語尾とAN語尾の使用が拮抗している点を指摘する。最後に、その使用の拮抗について要因を探る。
2.シンポジウム:アプリ教材の可能性―『シンプルドイツ語単語帳』を例として―
司会者:田原 憲和 氏(立命館大学)
<報告1>
報告者:橋本 雄太 氏(京都大学大学院生)
題目:導入(デモンストレーション)
<報告2>
報告者:柏倉 健介 氏(郁文堂営業部)
題目:出版社の視点から ―現状の報告と企画の概要―
[要旨]
各出版社において、ドイツ語教科書とデジタル端末の連動がどの程度行われているのかを述べる。その上で、今回のアプリがどのような意図で企画され、実現したのかを明らかにしたい。その際には、本アプリの特徴となる、「既刊の教科書への《後付け》として生まれたアプリであること」「無料公開されていること」の2点に触れることとなる。紙とデジタルは単に対立するものではない。むしろ相互補完的に連動しながら、教材に込められた目的をより高いレベルで実現することができるのではないか――こうした視点から、アプリ教材について考察したい。
<報告3>
報告者:西尾 宇広 氏(京都大学非常勤)
題目:教育者の視点から ―開発の経緯と目的―
[要旨]
『シンプルドイツ語単語帳』は、主に学生が正規の授業時間外に活用することを想定して開発された語彙習得アプリであり、学生により多くの学習機会を提供し、その自発的な学習をサポートすることを目的としている。現状ではまだメディア環境等の点で、大学の授業過程に直接アプリを組み込むことは難しいが、授業の補助的なツールとしてアプリを活用することは、学習者のみならず教育者の授業運営にとっても資するところが大きいと思われる。本発表では、大学の語学教育に携わる者の視点から、同アプリの開発経緯とその運用可能性について述べる。
<報告4>
報告者:寺澤 大奈 氏(京都大学非常勤)
題目:学習者の視点から ―教育現場でのアンケートに基づく報告―
[要旨]
発表者が教鞭を取る大学を中心に、本年度の前期、複数の大学で『シンプルドイツ語単語帳』アプリを実際に学生に使用してもらった。そして学期終わりに使用頻度や使用感などについてアンケートを取り、回答を得た。本発表ではこのアンケート結果を集計・分析することによって、現段階で本アプリが、ひいてはアプリ教材一般がどのような受け取られ方をしているのかを報告したい。さらに、発表者がドイツ語を教えている語学学校の生徒に対する聞き取り調査の結果や、発表者が個人的に本アプリを使用してみて気づいた点などに関しても追加で報告する予定である。
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