第82回例会

日時:2013年12月14日(土)13:30 ~ 17:30

場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)

<<内容>>

研究発表会

研究発表1
発表者:安田 麗 氏 (大阪大学)
題目:ドイツ語音声における母音/i/ /u/ /y/の生成について

[発表要旨]

外国語の学習において,目標言語を母語の様に完璧に習得することは難しい。特に発音に関しては,学習者の母語の音声的知識や音韻体系が干渉し,目標言語の発音習得を困難にしたり,外国語訛りとして表れたりすると言われている。本発表では、日本人ドイツ語学習者のドイツ語音声を対象とし,母音/i/ /u/ /y/がどのように発音されているのかを実験音声学的手法を用いて観察した。日本人の発音の特徴やドイツ語を発音する際に特に注意すべき点を明らかにすることで,今後の効率的なドイツ語音声指導への応用について考えたい。


研究発表2
発表者:大喜 祐太 氏 (京都大学院生)
題目:スイス式標準ドイツ語における非人称存在表現の考察 ―es hat と es gibt の用法比較から―

[発表要旨]

スイス式標準ドイツ語 (Schweizerhochdeutsch)には、標準ドイツ語 (Hochdeutsch) で一般的に使用されている geben を用いた es gibt 非人称存在表現だけでなく、 haben を用いた es hat非人称存在表現がある。本研究の目的は、スイスの標準変種であるスイス式標準ドイツ語 (Schweizerhochdeutsch) における、非人称存在表現の用法 (es hat vs. es gibt)を明らかにすることである。本発表では、まずコーパスの用例を抽出し、各表現の副詞的付加語・実主語の性質などについて検討する。つづいて、スイスドイツ語における es gibt と es hat の使い分けを、アンケート調査を中心に考察する。最後に、スイスドイツ語と周辺言語 (標準ドイツ語もしくはフランス語など) の用例と比較し議論してみたい。


研究発表3
発表者:熊坂 亮 氏 (北海学園大学)
題目:スイスドイツ語の動詞群について

[発表要旨]

スイスドイツ語のほとんどの方言において動詞群は、支配される下位の動詞が不定詞であるか過去分詞であるかによって異なる語順をとる。すなわち、支配される動詞が不定詞であれば、それを支配する上位の動詞の後(右側)に置かれるが(チューリヒ方言:das er schweer mues1 schaffe2/標準ドイツ語:dass er schwer arbeiten2 muss1)、過去分詞であれば、上位の動詞の前(左側)に置かれる(チューリヒ方言:das er schweer gschafft2 hat1/標準ドイツ語:dass er schwer gearbeitet2 hat1)。本発表では、スイスドイツ語の動詞群の構造的特徴について共時的および通時的観点から概説するとともに、上述の差異の要因の一つとしての、過去分詞の形容詞的性格に言及する。

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