第79回例会

日時:2012年12月1日(土)14:00 ~ 17:00
場所:京都大学 楽友会館(1階会議室)
<<内容>>

研究発表会

研究発表1
発表者:島 憲男 氏 (京都産業大学)
題目:構文の拡張と動詞の「他動性・自動性」:構文ネットワークの観点から

[発表要旨]

 ドイツ語の結果構文は、自動詞・他動詞の両領域に広がる構文と考えられるが、その用例が典型的なタイプから非典型的なタイプへと拡張するのに合わせて、構文の基底動詞や目的語は意味的・統語的性質を様々に変質させていく。これは、構文中に生起する基底動詞の観点からは他動詞から自動詞に構文を拡張させていると解釈でき、構文中の目的語からは基底動詞の直接的な意味制約から離脱して結果状態の描写を受ける主題としてより前景化されていくことを意味する。 本発表では、ドイツ語文法に存在する他の諸構文(中間構文、同族目的語構文、結果目的語)と結果構文を比較することで、二律背反的な「自動性・他動性」を超えてその構文的連続性をとらえ、目的語の担う役割を生み出すメカニズムを考察してみたい。


研究発表2
発表者:清水 誠 氏 (北海道大学)
題目:ドイツ語とゲルマン語の枠構造をめぐって

[発表要旨]

枠構造はドイツ語の文構造を特徴づける現象だが、ドイツ語の特徴とはいいがたい。枠構造は大多数のゲルマン語に共通し、それを欠くのは英語などごく少数にとどまる。ドイツ語の枠構造には独自の特徴があり、ドイツ語にはない特徴も他のゲルマン語には存在する。本発表では、ゲルマン諸語の例をもとに左枠の補文標識と右枠の動詞群について考察し、枠構造の成立と解消の要因にも言及する。補文標識の一致、補文標識の接語化と脱落、定形補文標識と不定形補文標識、zu-不定詞の省略、VO言語と枠構造、動詞群の統語論的・形態論的・意味論的配列、枠構造の成立と文モダリティー、枠構造の解消と連鎖動詞融合など聞き慣れない概念についても紹介したい。


招待講演

発表者:Armin Burkhardt 氏 (マグデブルク大学)
題目:”Spielt Deutschland gegen den Abstieg?” Sportmetaphern in der politischen Sprache

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*