第78回例会

日時:2012年9月29日(土)13:30 ~ 17:30
場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)
<<内容>>

研究発表会

研究発表1
発表者:西出 佳代 氏 (北海道大学大学院生)
題目:ルクセンブルク語における子音と音節構造

[発表要旨]

ルクセンブルク語は、1984年言語法によりドイツ語の一方言(西モーゼルフランケン方言)からルクセンブルク大公国の国語へと昇格した拡充言語である。同国家の国民アイデンティティを象徴するこの言語は、社会言語学的、すなわち言語外的な領域で関心を集めることが多い。一方で、その言語内的な特徴に関する研究はルクセンブルク本国でも十分に進められているとは言い難く、言語体系の記述を行った専門的な文献としては1950年代のものを参照する以外にない。しかし、言語として独立することで標準化が進み、外国人に対するルクセンブルク語教育の需要も高まる現在、再度体系記述を行うことは不可欠である。本発表は、その試みの一つとして音韻体系の中から子音と音節構造を取り上げ、記述することを目的とする。主に標準ドイツ語との比較の中で、歯茎・硬口蓋摩擦音/?/, /?/ や、/?/, /?/ の異音などに着目しながら音素の記述を行い、音節構造の特徴から、語末音硬化の問題や、あいまい母音や歯茎閉鎖音 /t/
の音挿入現象に言及し、ルクセンブルク語音韻の特徴の一端を示したい。


研究発表2
発表者:阿部 美規 氏 (富山大学)
題目:ドイツ語の映画字幕について

[発表要旨]

外国の映画やテレビ番組を上演・放送する際、従来専ら吹き替え(Synchronisation)が用いられてきたドイツにおいても、特に近年DVDが普及して以降、字幕(Untertitel)が積極的に利用されている。2009年にはEUがその行動計画に字幕を用いた外国語学習の推進を盛り込むまでになり、字幕は今後もますますその使用範囲を広げていくことが予想される。このような動向に並行して、翻訳研究においてもこれまであまり注目されることのなかった字幕が、とりわけ視聴覚翻訳(Audiovisuelles Ubersetzen)の重要な一分野として認識され、ドイツにおいてもそれに関する調査・研究が進められつつある。本発表ではそれらの調査・研究の成果を紹介した上で、邦画に付されたドイツ語字幕に関して発表者が行った考察の結果を報告する。字幕翻訳にはさまざまな制約が伴うが、その制約の中で生まれたドイツ語映画字幕がどのような特徴をもつのか、その一端を明らかにしたい。


第30回言語学リレー講義
発表者:杉谷 眞佐子 氏 (関西大学)
題目:「外国語としてのドイツ語」教育と「複数言語教育」の促進

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