場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)
<<内容>>
研究発表会
研究発表1
発表者:芹澤 円 氏 (学習院大学大学院生)
題目:16世紀ドイツにおける印刷ビラの言語―受け手に合わせる、メディアに合わせる、メッセージに合わせる
[発表要旨]
メディア論で議論されていることのひとつに、そもそもメディアには受け手の態度ないし行動を変化させるほどの強い影響力があるのか(強力効果論)、それともメディアは受け手の態度を補強するにすぎないのか(限定効果論)ということがある。ヒトラー演説なるものの「威力」について語られることがしばしばあるが、はたしてヒトラー演説には本当に威力があったのだろうか。ヒトラー演説が「完成」したのはいつで、その後時代とともに「進化」を遂げたのだろうか。このような素朴な疑問について言語学者が答えを出そうとしたとき、どのようなアプローチが可能であるのかについて、いくつかの具体的分析を示しながら考えてみる。そのなかで見えてくる言語学者の限界をどうすれば克服できるのかについても言及する。
研究発表2
発表者:高田 博行 氏(学習院大学)
題目:ヒトラー演説を分析してみる―言語学的アプローチの可能性と限界―
[発表要旨]
メディア論で議論されていることのひとつに、そもそもメディアには受け手の態度ないし行動を変化させるほどの強い影響力があるのか(強力効果論)、それともメディアは受け手の態度を補強するにすぎないのか(限定効果論)ということがある。ヒトラー演説なるものの「威力」について語られることがしばしばあるが、はたしてヒトラー演説には本当に威力があったのだろうか。ヒトラー演説が「完成」したのはいつで、その後時代とともに「進化」を遂げたのだろうか。このような素朴な疑問について言語学者が答えを出そうとしたとき、どのようなアプローチが可能であるのかについて、いくつかの具体的分析を示しながら考えてみる。そのなかで見えてくる言語学者の限界をどうすれば克服できるのかについても言及する。
研究発表3
発表者:成田 節 氏(東京外国語大学)
題目:日独語の物語における視点 ― 原文と翻訳の対照を手がかりに
[発表要旨]
原文と翻訳で日独語の物語を読み比べると、個々の表現がもつイメージのずれなどは別としても、テキストから読み手が受ける印象が異なることが少なくない。たとえば芥川龍之介の「蜘蛛の糸」とその独訳Der Faden der Spinne (Jürgen Berndt訳)を読み比べると、日本語原文では極楽や地獄に読み手も居合わせて一連の出来事を眺めているような印象を受けるが、ドイツ語訳ではそのような臨場感はほとんど感じられない。このような違いはどこから生じるのだろうか。英語と日本語の「語り」の特質を考察する山岡實『語りの記号論』(増補版2005年)などを参考にし、特に時制と人称に注目してこの問題を考える。このようにして、以前から取り組んできた「視点」の考察を深めたい。
定例総会