第61回例会(20周年記念コロキウム)

日時:2006年12月3日(日) 13:00~16:30
場所:京大会館210号室
<<内容>>

「これからのドイツ語学・言語学を考える」――「京都ドイツ語学研究会」発足20周年を記念して――

司会者:湯浅 博章 氏(姫路獨協大学)


1. パネリストからの提言
パネリスト:
西本 美彦 氏(関西外国語大学)
乙政 潤 氏 (京都外国語大学)
深見 茂 氏 (大阪市立大学名誉教授)
武市 修 氏 (関西大学)


2. ディスカッション

[コロキウム要旨]

 「京都ドイツ語学研究会」は1986年12月13日に発足しました。発起人はわずか5人で、当初の入会者数は22人でした。この研究会が実質的な活動を始めたのは1987年からでありますので、本年の12月は発足20周年という年に当たります。第1回例会に関する報告書は翌年の1987年に「京都ドイツ語学研究会会報 第1号」としてまとめられています。
会報第1号の1ページ目に記された『「京都ドイツ語学研究会」発足にあたって』という短い文章の出だしは次のように書かれています。「京都には今まで、ドイツ語学に関心をもつ研究者が集い合ってお互いが研究交流をしたり、学術資料を提供し合う場がなく、研究活動も孤立化する状態が続いてきました。(中略)ドイツ語学、ドイツ語教育およびこれらに関する分野の研究に関心をもつ研究者、大学院生らが集まり、相互の研究交流を深めることによって、それぞれの研究の充実を目指すことができるような会を結成しようとする声が聞かれていました。・・・」
本研究会はこのような趣旨で発足したのでありますが、その後の20年間に会員数も増加し、現在では100人を超す規模に発展いたしました。この20年間の研究会活動は多岐にわたり、ドイツ語学やドイツ語教育に限らず、他言語研究およびなんらかの形で言語に関係する領域にも積極的に取り組むと共に、外国の研究者の講演会を頻繁に開催するなどの活動もしてきました。また例会で発表された言語理論や研究領域分野も伝統文法から比較言語学、生成文法、ヴァレンツ理論、モンタギュー文法、語用論、テクスト言語学、認知言語学などなど数え切れないほど多様でありました。本研究会の活動はきわめて活発な時期と、時には幾分低迷気味であった時期がありました。しかしともかく20年の間この研究会が消滅することなく続いたという事実は、先に紹介しました発足時の趣旨が今でも有効であることを証明するものであると思います。

しかしながら、ドイツ語を取り巻く昨今の状況はドイツ語教育に限らず、ドイツ語学、ドイツ文学そのほかのドイツ関連の研究全般にとって極めて憂慮すべき危機感を募らせています。このような現実の中、今回のコロキウムでは過去20年間の本研究会の活動成果を評価しつつも、それに甘んじることなく、現状を冷静に分析し、従来の研究の視点を再検討すると同時に、今後のドイツ語学・言語学ひいてはドイツ研究一般に関する研究を深めていくためには、どのような理論的・方法論的なアプローチが求められるかについて考えてみたいと思います。ドイツ語学、ドイツ文学、言語学の分野からの4名のパネリストによる発表を基に、自由に議論を交わすことによって、私たちが進むべき方向を探ることが出来ればと思います。

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