第56回例会(研究発表会)

日時:2005年5月28日(土) 13:30~17:30
場所:京都ドイツ文化センター
<<内容>>

1.ドイツ語教育シンポジウム 「到達度から考えるドイツ語学習への動機付け」

司会者:桐川 修 氏(奈良高専)

基調講演
講師:Rita Sachse-Toussaint(Goethe-Institut/Osaka)
題目:Die neuen Prüfungen “Start Deutsch”:
Format-Voraussetzung-Motivation


報告1
報告者:齋藤 治之 氏(京都大学)
題目:独検(ドイツ語技能検定試験)の現状と課題 ── 実例に基づいて──


報告2
報告者:湯浅 博章 氏(姫路獨協大学)
題目:第2外国語の授業における到達目標と動機付け


2.自由討論会

[シンポジウム要旨]

 
いわゆる旧文部省の「大綱化」以来、「ドイツ語教育の危機」に対してはさまざまな形で議論され、ドイツ語教育の改善が試みられてきました。京都ドイツ語学研究会においても、これまでにさまざまな側面からドイツ語教育の改善について考えてきました。その中では、それぞれの教育機関における制度的な問題、効果的な授業を行うためのハードウェア、ソフトウェアの問題、ドイツ語学習者の激減を食い止め、少しでもドイツ語履修者を増やすための動機付けの問題、私たち教員の教え方の問題等を取り上げてきました。こうした流れを踏まえた上で、今回のシンポジウムでは、これまでは中心テーマとして取り上げてこなかった「到達度」という問題から「ドイツ語教育の危機」に抗するための方策を探ることにしたいと思います。
「到達度」はドイツ語教育のいわば「出口」であり、どのような目標を設定して授業を行い、最終的に授業の成果が見られたのかどうか、またその目標設定が妥当であったかどうかを診断する重要な要素ですが、ドイツ語教育の改善についての議論はともすれば「入口」周辺の議論に終始することが多いように思われます。けれども、近年の学生の学力低下や厳しい就職状況等の結果、学生がどの外国語を選択するかの基準に考えているのはドイツ語を学べばどのような役に立つかという「出口」のイメージであり、ドイツ語教育の振興を図るためにはこの「出口」を考え直しておく必要があるように思います。
「到達度」を計る試験としては、普段の私たちの授業における試験の他にも、ドイツ語技能検定試験(独検)のような検定試験が考えられます。また、ドイツ語圏の国々においてもEU評議会の新たな枠組みに基づいて、例えばGoethe-InstitutのStart
DeutschやZD、ZMPのような検定試験が整備されており、これらは日本においても受験することが可能になっています。しかしながら、こうした試験はどれも目標としているところがさまざまで、それぞれの試験に合格すればどのような効果があるのかが見えにくく、学生へのドイツ語学習の動機付けには結びついていないように思われます。そこで、今回のシンポジウムではそれぞれの試験の性格や目標設定を再確認して、今後どのような到達目標を立てればドイツ語学習に対する学生のモティベーションを高めることができるのか、ドイツ語教育の振興を図ることに繋がるのかを参加者の皆様とともに考える機会としたいと思っております。

3.定例総会

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