場所: 関西ドイツ文化センター(京都)
<<内容>>
1.研究発表
発表者:長縄 寛 氏(関西大学大学院生)
題目:古高ドイツ語、中高ドイツ語の不定関係代名詞 sô wer sô, swer について
[要旨]
古高ドイツ語の不定関係代名詞 sô wer sô(~するところの者は誰でも)は、中高ドイツ語期に至り、swer へと簡略化され、14世紀には werとなる。本発表では、古高ドイツ語期の作品である『オトフリトの総合福音書』と、中高ドイツ語期の作品であるハルトマン・フォン・アウエの『イーヴァイン』を取り上げ、これら二つの作品に見られる不定関係代名詞が当時どのように用いられていたのか、具体的な例文を挙げながら述べてみたいと思う。
発表者:石川 光庸 氏(京都大学)
題目:『ヘーリアント』詩人の語り口
[要旨]
これまでの人生そのもののごとく、教員としても研究者としてもディレッタントを貫いてきたこの私に、真摯な言語研究者集団を前にしていったい何を語ることができるでしょうか。幸い研究発表ではなく講義のようにやってよろしいとのことなので、いつもの学生を煙に巻いている(当方にその意図はないのですが―)情景の一端をお目にかけることになるでしょう。まず初めに(私事で恐縮なのですが)『ヘーリアント』にたどりつくまでの遍歴、いや彷徨についてもちょっと触れ、その後『ヘーリアント』詩人の語り口という視点からいくつか考えていることをお話しいたしたいと思っております。その多くは印象批評の域を出ていないのではありますが。
3.研究発表
発表者:成田 節 氏(東京外国語大学)
題目:結合価と構文――ドイツ語と日本語の対照――
[要旨]
日本語と比べながらドイツ語の構文の特徴を照らし出すという大枠で、この報告では以下のような観点を中心に、できるだけ具体的に考える。(1)動詞の結合価が文構造を決めるという仕組みは両言語でどのように異なるか。(2)文構造が特定の文意味を形成するという仕組みは両言語でどのように異なるか。(3)視点と構文の関係は両言語でどのように異なるか。(まだまだ研究の途上です。様々な観点からのご指摘がいただければ幸いです。)