第44回例会(研究発表会)

日時:2001年5月26日(土) 13:30~17:30

場所:関西ドイツ文化センター(京都)

<<内容>>

1.研究発表
発表者:Amm Patcharaporn Kaewkitsadang
氏(京都大学院生)
題目:日本語とタイ語における感情表現について――ジェスチャー・感情認識を中心に ――

[要旨]

今回の発表では、異文化間の感情表出の形式、またその形式の認知と意味づけを考察することを目的とし、基本的な姿勢としては感情とは感情行為(身体変化・身振り行動)とみなす。このような感情は言語・文化・社会と何らかの形で結びついていると考えている。人間は自分の心の中に起こっている感情をどのように表現するのか、また他者はその感情をどのように認識・解釈するのかについて日本人とタイ人の場合との比較をしてみたいと考えている。この発表は特に顔面表情に絞るものではないため、写真・ビデオなどは使わない。アンケート方法をとる。(他者の)感情認識を中心に考察しようと考えているので、アンケートからの概念的感情の表現形式についての情報(他人がある感情を抱いていることを知るための手掛かり)を重視する。ジェスチャーによる感情表現から見てみて、社会によって感情表現の構成要素への認知・注目の仕方が異なるのではないかと考えられる。


2.研究発表
発表者:長友 雅美 氏(東北大学)
題目:ペンシルベニアドイツ語は消滅に向かっているのか?

[要旨]

ペンシルベニアドイツ語 Pennsylvania German language (Pennsylvania Dutch)は北米で発展したドイツ語方言変種の一つである。南ドイツのプファルツ方言とスイスドイツ語や他のドイツ語方言に英語の語彙・統語上の影響を受けながらここ300年の間の時間の流れの中で変化をとげ続けてきた。このドイツ語方言変種はかつて存在したテキサスドイツ語、サンフランシスコ湾岸ドイツ語、ウィスコンシンドイツ語、ネブラスカドイツ語等の二言語併用もしくは多言語使用のドイツ語の「言語島」と比べると、その社会的・宗教的諸要因の連続性故に堅固なものである。二言語併用もしくは多言語使用の領域では借用語彙・語法レベルの研究は話者の社会的地位、またはその話者の相手、関係する概念の度合い、借用語彙受容の特徴等を研究者に分析可能とする機会を与えている。今回の発表ではペンシルベニアドイツ語の概略を様々な角度から紹介しつつ、最近の「危機に瀕する言語」に関するフレームの中ではこのドイツ語方言変種の実態が把握しがたいこと、またこの言語の「言語文化維持運動」のために数多の努力が続けられていること等も論じることにしたい。


3.定例総会

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