第41回例会(研究発表会)

日時:2000年5月27日(土) 13:30~17:30

場所: 関西ドイツ文化センター(京都)

<<内容>>

1.研究発表
発表者:納谷 昌宏 氏(松阪大学)
題目:打撃動詞と語彙概念構造

[要旨]

次の(1)と(2)はいずれも打撃の意味を表す文である。
(1) a.Er schlägt den Hund mit dem Stock.
b.Er schlägt den Stock auf den Hund.
(2) a.Er verprügelt den Hund mit dem Stock.
b.*Er verprügelt den Stock auf den Hund.
動詞 schlagen では道具4格構文が可能であるのに対して、動詞 verprügelnでは非文となる。こうした事実は、それぞれの打撃動詞の意味構造が異なることを示すものである。本報告ではそれぞれの動詞の語彙概念構造を分析することにより、打撃動詞がいくつかの意味タイプに分類されることを明らかにする。また英語の打撃動詞との対照をも試みたいと考えている。


2.第22回言語学リレー講義
発表者:渡辺有而氏 (関西大学)
題目:いわゆる副詞的2格とは何か――ベハーゲルの疑問の解明――

[要旨]

現代ドイツ語の規範文法で一括して副詞的2格として扱われている表現に、時を表すもの(eines Abends usw.)と並んで、ベハーゲルが「歴史的関連の解明が最も難しい用法」と呼んだ、付随的状況・様態・関係・観点に関するものがある。この種の表現を筆者は、辞典に32個(leichten Herzens usw.)、現代ドイツ文学作品に新たに41個(verkniffenen Mundes usw.)見出した。とりわけ Th.マン(19個)、St.ツヴァイク(8個)の作品に多く、19世紀の作家ではC.F.マイアー(11個)が目立つ。本発表では、この語法の言語史的背景を明らかにするとともに、カエサルの「ガリア戦記」に多用される具格的奪格・絶対奪格と対比させてその文化史的背景をも追求する。


3.総会

[議題]

  • 1.各委員からの報告
  • 2.新委員の選出

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