第108回例会(対面開催)

日時:2022年12月10日(土)13:30 ~ 17:00

場所:京都外国語大学8号館4階843教室

<<内容>>

研究発表会

研究発表1

発表者:下村 恭太 氏(京都大学大学院生)
題目:ヴィラモヴィアン語における接続詞と人称代名詞の使用傾向について:指示対象の有生性および人称代名詞の性・数との関連性

[発表要旨]

  本発表では、ポーランド南部で話されているドイツ語変種のヴィラモヴィアン語(ヴィラモヴィアン 語:Wymysiöeryś, ドイツ語:Wilmesaurisch)を対象とし、強勢のない人称代名詞が接続詞に融合する現象の生起条件の解明を試みる。 強勢のない人称代名詞は通常、強勢を持つとされる動詞などの内容語に融合する。しかし、ヴィラモヴィアン語では強勢を持たないとされる機能語の接続詞に融合する。さらに、人称代名詞が接続詞の直後に生起したとしても、必ず融合するわけではない。 以上のことから、融合現象の用例数が多く見られたケースに着目し、その生起条件を考察する。


研究発表2

発表者:片岡 宜行 氏(福岡大学)
題目:ドイツ語教育における構文の扱い

[発表要旨]

 
ドイツ語学習において基本的な構文を学ぶことは必須であると考えられるが、例えばドゥーデン文法(2016年)のリストに挙げられている34種類の構文には、出現頻度が比較的低いものや、所有の与格構文のような派生的なものも含まれており、このリストをそのままの形で学習者に提示するのは適切ではないと考えられる。本発表では、ドゥーデン文法において所有の与格が「目的語」とみなされ、所有の与格を基本的な構成要素として含む構文が他の構文と対等なものとして位置づけられるに至った経緯を検証し、その妥当性について検討する。また、そのほかのタイプも含めて、どのような形で構文をドイツ語教育の場で提示するべきかについて考察したい。


研究発表3
小川 敦 氏(大阪大学)
題目:ルクセンブルクにおける近年の言語をめぐる議論 -「国語」と早期複言語教育から

[発表要旨]

 
人口の約半数が外国籍であることからも示唆されるように、ルクセンブルクでは移民の社会統合、特に言語的な統合が課題となって久しい。以前より政治的には統合の言語としてルクセンブルク語が重視され、その上でドイツ語、フランス語を身につける教育政策がとられてきたが、2013年に発足した自由主義的な方針をとる現政権は学校の多様化を推進し、従来の画一的な政策にこだわらない姿勢を見せている。一方で、2017年に成立した「ルクセンブルク語振興戦略」に見られるように、国語であるルクセンブルク語を盛り上げようという動きも見られる。本発表では、これらの動きを考慮しながら、2017年に始まったルクセンブルク語とフランス語の早期複言語教育に関する議論に焦点を当て、多様化するルクセンブルク社会と言語政策を考えたい。


質疑応答
司会者:中村 直子 氏


臨時総会

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