第103回例会(WEB開催)

日時:2021年5月22日(土)13:30 ~ 17:30
(Zoom会議)

<<内容>>

研究発表会

研究発表1
発表者:佐分利 啓和 氏(関西学院大学大学院生)
題目:感情表現としてのmir / dir

[発表要旨]

 ドイツ語の自由与格のうち関心の与格は、口語でしか用いられない、一人称ないし二人称でしか出現しない、前域に配置できない、要求文と感嘆文にのみ現れるなどユニークな特徴を持つ。命題外、すなわちモダリティに関わる表現であることも特徴的であり、心態詞と類似した機能を持つことが知られている。本発表では、関心の与格mir/dirが、話し手の態度や感情などを表す「表出的意味」を持つことに注目し、要求・命令・驚き・非難などの意味があるとされる関心の与格の機能を、感情的側面から統一的に把握しようと試みる。宮下 (2020) が心態詞dennの機能に関する検討で援用したRussell & Barrett (1999) による感情円環モデルを導入することで、関心の与格と感情の関わりを明らかにしたい。


研究発表2
発表者:佐藤 和弘 氏(龍谷大学)
題目:エネルギー政策とドイツメディア―原子力推進派と原子力反対派が用いる言語表現―

[発表要旨]

 米国の核物理学者A. M. Weinbergは、人類が原子力エネルギーを手に入れたことに対し”Wir haben einen faustischen Pakt geschlossen.”と表現した。20世紀はこのHollenfeuerをめぐりPro-AtomとAnti-Atomの間で修辞的表現を駆使し賛否両論が飛び交った。21世紀に入りKlimawandel、Klimakriseにより脱炭素化社会がエネルギー政策の中心課題に移ると、世代交代と共に例えばUmweltschutzer、Bruckentechnologieにも新たな現象、意味解釈が生まれている。また、Okoverbrecher、Klimaverbrecherなど地球を、人類の生存を脅かす複合語が次々と登場してくる。本発表においてはドイツメディアで取り上げられたエネルギー政策、とりわけ原子力政策において、原子力推進派と原子力反対派が巧みに用いる言語表現を、婉曲語法(Euphemismus)、ネオロジズム(Neologismus)に注目し、エコ言語学的観点から言語分析を行う。


要旨説明/質疑応答(Zoom会議)
司会者:薦田 奈美 氏


定例総会

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