第43回例会(研究発表会)

日時:2000年12月16日(土) 13:30~17:30

場所:関西ドイツ文化センター(京都)

<<内容>>

1.研究発表
発表者:Jessika Häfker 氏(京都大学院生)
題目:心の内的状態を表す表現の習得―― ドイツと日本の幼児と行った準備調査の紹介 ――

[要旨]

意図、感情、認知は、個人的で内的なものであるために、観察可能な状態ではないとされている。この発表では、子どもは心についてどのように知るようになるのかを考察したい。心理学はその問いに対してどのような答えを与えてきたのか。そして、それらの答えが妥当な答えなのか。このような問いに対する心理学の答えを点検する作業が発表の出発点となる。「心についての理解は言語を媒介として必要とする」「その理解は子どもと養育者の間における言語的及び身体的なやりとりから生まれる」という二つの仮説を立て、他者の心についての親子の会話を分析した。そこで情緒を表しやすい日本語の構造と語彙、ドイツの親子関係・内的状態語の使用・ドイツ語の複雑な構造を議論したい。


2.研究発表
発表者:三輪 朋也 氏(関西学院大学院生)
題目:テクスト種類分析における方法論的考察―― 分析基準における不統一性の解明について ――

[要旨]


テクスト言語学では、われわれが社会的言語生活の中で経験的に具体的なテクストをある特定のテクスト種類へと分類できる事実を踏まえ、テクスト自体だけでなくテクスト種類およびテクスト種類分類に関わる特殊な規則性を解明するためにさまざまな分析基準を設定し具体的なテクスト分析をおこなってきたが、依然どんなテクスト(種類)にも適応できる方法上の統一的基準を見出せていない。本発表では、代表的な分析基準であるテクスト機能(Textfunktion)を中心に、先行研究における具体的なテクスト分析を例にあげ、基準としての正当性を検証し、さらにテクスト機能に代わる、あるいはテクスト機能を補助するその他の基準との関係を考察したい。


3.研究発表
発表者:湯浅 博章 氏(姫路獨協大学)
題目:テンス・アスペクト・モダリティの相互干渉について―― daß補文等を中心に ――

[要旨]


「文」を構成する中心要素は定動詞であると一般的に認められるとすると、動詞に内在する人称、法、時制のような文法カテゴリーが文構造に何らかの影響を及ぼすことは十分に考えられる。けれども、この観点からの構文研究はまだ新しく、解明すべき問題は数多く残されている。こうしたことから、発表者はこれらの文法カテゴリーの意味・機能と文構造との影響関係を明らかにすることを現在の課題としている。本発表ではその端緒として、daß補文やそれに類する構文に見られるテンス・アスペクト・モダリティの影響とその相互干渉について考察することにしたい。


3.定例総会

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*