第92回例会(30周年記念コロキウム)

日時:2017年5月20日(土)13:30 ~ 17:30

場所:キャンパスプラザ京都2階 第1会議室

<<内容>>

「ドイツ語研究の今後」
―「京都ドイツ語学研究会」発足30周年を記念して―

司会者:河崎 靖 氏(京都大学)


1. パネリストからの提言

題目:ドイツ語研究における『分かりやすさ』と出現頻度―lassen使役構文の分析を手掛かりに―

パネリスト:湯淺 英男 氏(神戸大学)


題目:J.Wickram ?Das Rollwagenbüchlin“におけるmöchteについて―ルター、英語、目的文などと関連させて―
パネリスト:工藤 康弘 氏(関西大学)


題目:『する型・なる型』表現類型から見たドイツ語とルクセンブルク語
パネリスト:田村 建一 氏(愛知教育大学)


題目:当たり前のようで意外なこと―『外』から見た語学研究・語学教育―
パネリスト:坂口 文則 氏(福井大学)


2. ディスカッション
[コロキウム要旨]

 京都ドイツ語学研究会は、昭和61年(1986年)12月13日に5名の発起人のもと発足会が開催され、研究会設立の趣旨説明および会則の承認、そして初代世話人の選出をもって正式に誕生いたしました。

○本会はドイツ語学・ドイツ語教育およびこれらに関連する領域の研究に携わるものが、相互の研究交流を深めることによって、それぞれの研究の充実を目指すとともに、相互の親睦をはかるものとする。

○本会はドイツ語学・ドイツ語教育およびこれらに関連する領域に関心をもつ研究者・大学院生等をもってその会員とする。

この会則に謳われているように、本研究会の目的は『相互の研究交流』による『それぞれの研究の充実』および『相互の親睦』となっています。『相互の研究交流』は主として年3回の例会〈研究発表会〉と年1回発行の会誌Sprachwissenschaft Kyotoによっておこなわれています。例会では毎回2~3名の方の発表があり、発表後の討論は長時間にわたることも稀ではありません。これまでの例会で発表されたテーマを見ますと、ドイツ語学の分野では統語論、意味論、語用論を中心に、伝統文法から比較言語学、生成文法、ヴァレンツ理論、テクスト言語学、モンタギュー文法など多岐にわたっています。最近ではドイツ語だけでなく他の言語に関する研究もさかんになっています。また、ドイツ語教育に関しては、会員それぞれの教育実践報告だけでなく、とくに1991年の『大学設置基準の大綱化』以降、日本におけるドイツ語教育が経験した大きな変革の中で、大学などでのドイツ語教育がどうあるべきか、ということもしばしば議論されてきました。会誌Sprachwissenschaft Kyotoは、会員のみなさんの研究発表の場として毎号多数の掲載依頼があり、編集委員会(世話人会)で会員あるいは会員以外から査読委員を選出し、厳正な審査のうえ論文として掲載しています。
一方、『相互の親睦』を実現できる場としては例会後の懇親会があげられるでしょう。初代世話人代表・西本美彦氏は次のように書いておられます。「懇親会とはいえ、実際にはこの場で腹を割った議論が展開されます。議論はドイツ語学ばかりではなく、言語学一般にまで及び、特に若い研究者にとっては、ある分野の代表的な研究者と直接意見交換や情報交換ができる貴重な場であり、欠かせない活動の一つと言えるかもしれません。」発足当初22名であった会員数は、この30年で約100名と増加しています。その理由のひとつとして会員相互の親睦を大切にしてきたことが挙げられるかもしれません。
こうした研究会30年にわたる活動全般を踏まえて、今回の記念コロキウムでは今後のドイツ語研究をどのように展開していくべきか、という観点で4名の方々にお話しいただきます。4名の方々の発表ののち、会場にお集まりのみなさまを交えて今回のテーマである『ドイツ語研究の今後』について話し合いたいと思います。実り豊かで活発な議論を期待しています。どうぞよろしくお願いいたします。

 


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