第90回例会

日時:2016年9月17日(土)13:30 ~ 17:30

場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)

<<内容>>

研究発表会

司会者:筒井 友弥 氏(京都外国語大学)

研究発表1
発表者:渡辺 伸治 氏(大阪大学)
題目:gehen/kommenとgo/come

[発表要旨]

 本発表では、ドイツ語のgehen/kommenと英語のgo/comeのダイクシス性の違いを考察する。その際、使用条件に関するダイクシスと状況に関するダイクシスを区別するが、本稿では使用条件に関するダイクシスにもとづき考察する。gehen/kommen、go/comeはいくつかの用法に分類するが、使用条件に関するダイクシスがどの用法にどのように見られるかを比較、考察し、結論として、基本的に英語のgo/comeのほうがダイクシス性が強いことを述べる。また、できればgehen/kommenとgo/comeのダイクシス性の違いを歴史的な観点からも考察したいと思っている。


研究発表2
発表者:木村 英莉子 氏(京都大学大学院生)
題目:wissenを含む言語表現による談話標識の機能について―weißt duを中心に

[発表要旨]

 日常会話におけるコミュニケーションの中で、話し手は聞き手に反応を要求するために、様々な言語表現を使用している。weißt
du、weißt du wasなどのwissenを用いた談話標識はこの一種であるが、その機能、また、他の言語表現との関連性については明らかになっていない点も多い。本発表では、wissenを用いた談話標識について、これらがどのような場面に出現するのか、また、反応要求を行うためにどのように機能し、相互行為の中で話し手から聞き手へどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることを目標に置く。会話分析の手法を用い、ターンにおける出現位置毎に考察を行い、wissenを用いた談話標識の特徴について考察する。

 


第35回言語学リレー講義
講師:吉田 光演 氏(広島大学)
題目:生成文法と形式意味論から見る構造と意味のインターフェース―ドイツ語定冠詞を中心に―

[発表要旨]

 生成文法は統語構造の自律性を仮定するが、作用域解釈など、構造と意味が関連する論理形式レベルを認めている。これを進めて、生成文法と形式意味論を結合して、構造と意味のインターフェースを研究する方向はドイツ語研究においても有力である。これを踏まえて、定冠詞の構造(限定詞句)と意味(唯一性・既知性)を取り上げ、im, zumのような前置詞と定冠詞の融合形の意味について議論する。先行研究では、融合形は弱定名詞句として、指示性が弱い不定名詞句と分析されることもあるが、共有知識との関連において定解釈となる場合もある。非融合形との対比、名詞の種類、状況・文脈など、語用論を含む動的な分析が必要であることを示す。

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