場所:キャンパスプラザ京都6階 立命館大学サテライト講習室(第1講習室)
<<内容>>
研究発表会
司会者:金子 哲太 氏(関西大学非常勤講師)
研究発表1
発表者:筒井 友弥 氏 (京都外国語大学)
心態詞 jaに関する一考察 ― 話法詞 vielleichtとの共起をてがかりに ―
[発表要旨]
平叙文における心態詞 jaと話法詞vielleichtの共起では、命題の事実性(既知性)を表明する jaの機能と、事実の可能性を表明するvielleichtの機能において、意味的な相殺を伴い使用に齟齬をきたすと考えられる。しかし、実際には、例えば ?Du hast ja vielleicht Recht.“といった文が多く観察され、日常会話において支障なく用いられる。本発表では、最初に当該の文構造に関する先行研究を紹介し、その見解の問題点を指摘したうえで、続けて妥当な解決策を模索する。その際、心態詞jaの既知性に焦点を当て、主に jaの表す含意を考察することで、jaと vielleichtの共起に見られる現象に可能な解釈を示すことが目的である。それにより、心態詞 jaの新たな用法を見出す試みとしたい。
研究発表2
発表者:藤原 三枝子 氏 (甲南大学)
題目:大学における基礎ドイツ語学習者の動機づけと教材との関係性
[発表要旨]
第二言語習得の動機づけ研究は、その先駆者であるGardner、R.C.らの社会心理学的アプローチから、90年代以降、教育実践と直結した方向へシフトしたが(e.g. Crookes & Schmidt 1991; Dornyei 2001; Skehan 1989)、管見の限り、ドイツ語教育ではこの分野の研究はまだ少ない。本発表は、動機づけという心理的要因を研究対象とするために、心理学の包括的理論である「自己決定理論」(Self-Determination Theory)を枠組みとして発表者が行った実証的研究を扱う。授業は時間的にかなりの部分を教科書での学習が占めていると学習者は認識している(Slivensky 1996)ことから、本発表は、特に、動機づけに影響しうる要因として、コミュニケーション中心の教科書に対する学習者の認知と動機づけとの関連を探ることを目的とする。時間が許せば、現在日本の大学で広く使用されている教科書の分析についても言及する。