場所:キャンパスプラザ京都6階 京都大学サテライト講習室(第8講習室)
<<内容>>
研究発表会
研究発表1
発表者:薦田 奈美 氏 (同志社大学非常勤)
題目:借用語の外来性-Fremdheit zwischen Lehnwort und Fremdwort-17世紀以降のフランス語からドイツ語への借用語を例として
[発表要旨]
語借用は、音韻論的・形態論的・書記素論的な側面において、どの程度、自言語に融合(integrieren)しているかに基づいて、外来語と借用語に区別される。古い借用であれば基本的には融合の程度は高くなるが、時間の経過だけがその基準とはならない(Keks-Kekse/Tempus-Tempora)。故に、どの程度融合すれば借用語として扱われるべきかを決定する基準が求められる。本発表では、Volland(1986)による17世紀以降のフランス語からのドイツ語への借用語の考察を基に、音・文字・形態のTransferenzとIntegrationの区分に、新たに意味的な区別(Semantische Integration)を加えることで、外来語と借用語の線引きを行う基準を明確化することを目的とする。具体的な方法として、当該語彙の借用後の意味変化について、Blank(2001)の挙げている意味変化タイプとその基盤となる連想関係を用いて考察を行うものである。
第32回言語学リレー講義
発表者:新田 春夫 氏 (武蔵大学)
題目:新高ドイツ語の成立過程に関する近年の研究動向
[要旨]
Werner BeschはGrimmelshausens?Simplicissimus‘ ? Das zweite Leben eines Klassikers. 2012において、東中部ドイツ語が東上部ドイツなどの影響も受けつつ、16世紀中葉には中部ドイツに普及し、17世紀中葉には北ドイツにまで浸透し、18世紀中葉には上部ドイツをも席巻することによって、全ドイツに広まり、新高ドイツ語文章語として成立したという、成立の時期的段階を提示した。この発表では、主にBesch2003にもとづいて、これまでの新高ドイツ語の成立過程に関する理論と彼のAusgleichstheorieを振り返り、次いで、近年の研究動向を紹介し、研究の問題点と課題を検討する。最後に、発表者による、方言区分、宗派などの視点にもとづいて選んだ、いくつかの資料の分析を例示する。
定例総会