第81回例会

日時:2013年9月21日(土)13:30 ~ 17:30

場所:キャンパスプラザ京都6階 立命館大学サテライト講習室(第1講習室)

<<内容>>

研究発表会

研究発表1
発表者:金子 哲太 氏 (関西大学非常勤)
題目:現在完了が用いられる環境について ― 古高ドイツ語、中高ドイツ語の例から ―

[発表要旨]

 発表者は、数年来、現在完了形が古高ドイツ語、中高ドイツ語の作品においてどのような環境で用いられているのかを調査することによって、この時制形式の意味的発展を探ってきた。そしてこの形式が現在時制性を残したまま発展し、一方では時間・アスペクト的表示を生み出してきたが、他方でまた語用論的にも一定の慣習化が起きていたのではないかと考えている。それは、コンテクストが両時代を通じて現在的環境であるのが基本であるということと、中高ドイツ語において話法的環境での使用が増加するという分析結果にもとづくものである。 本発表では、過去的環境に現われる現在完了の例を考察対象とし、これまで個別に扱ってきた「人称性」「時間性」「アスペクト性」、また「話法性」や文接続の観点から、より一般的と考えられる出現パターンとの違いを分析する。その都度の文意味を複数の角度から整理することで、拡充期にあった現在完了の意味用法について改めて考察したい。


研究発表2
発表者:吉満 たか子 氏 (広島大学)
題目:外国語学習における学習ストラテジー ― 学生達は授業外でどのように学んでいるのか?―

[発表要旨]

 近年、学習者の「自律」や「自学」が教育の世界ではキーワードとなっており、学習指導要領や大学のビジョンにもこれらが盛り込まれている。しかし、実際の授業で学生を観察すると、「勉強の方法が間違っているのでは?」と思うこともしばしばで、「自学」を叫ぶだけではなく、その方法を教員が示す必要性を感じることもある。 本発表では、まず外国語授業における「自律した学習者」とはどのような学習者なのかということを確認し、広島大学で行ったアンケート調査の結果から、学生が授業外で外国語をどのような方法で学んでいるのか探る。それらを踏まえた上で、学生が効率よく外国語を学ぶために、教員は何ができるのかを考えたい。


研究発表3
発表者:神竹 道士 氏 (大阪市立大学)
題目:ドイツ語<r>音の表記方法と規範意識の変化

[発表要旨]

ドイツ語の音には、母音化現象も含めてさまざまな異音が存在することは周知の如くである。ドイツ語発音辞典においても、Th.Siebsの舞台発音にみる理想規範(Idealnorm)からDuden第6巻の発音辞典における使用規範(Gebrauchsnorm)へと規範の概念規定が移り変わると同時に、この音の表記方法も大きく変わってきた。独和辞典の表記方法においても、IPA(国際音声字母)を用いた統一的表記から、発音記号とカナ表記の併記あるいはカナ表記のみによる記述へと推移している。音と辞書の表記方法からみえるドイツ語標準発音の規範意識の変化について、特に外国語としてのドイツ語を教える者の立場から論じてみたい。

 

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